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Fuessen by Sayuri Takahama

弦楽器製作家の町フッセン

文・写真/高浜さゆり 



ちょっとした縁で、ヘルマン・ハウザーI世(Hermann Hauser I)の1926年作ギターを預かることになった。長年弾かれぬまま、棚の中にしまわれていたうえ、表面版にいくつか小さな割れがある。まずは、ハウザー修理の経験があるギター製作家に手渡し、演奏可能な状態に戻してもらうことになった。


フッセン城

ドイツ南方アルゴイ地方に住むウルス・ランゲンバッハー(Urs Langenbacher)氏は、若いながらも、ギター製作家、および、修理家として、経験の豊富な人で、他のギター製作家からも、その腕を高く評価されている。ランゲンバッハー氏の働く工房は共同工房で、彼のほかにもヴァイオリン製作家のピエール・シュベール(Pierre Chaubert)氏とアンドレアス・オット(Andreas Ott)氏が製作に専念している。


3人の製作家ランゲンバッハー、オット、シュベール(左から)




ハウザーの修理について打ち合わせするイエギン


ランゲンバッハーのギターを試奏するイエギン


完成品のギターとコレクション


3人の工房はこの建物の屋根裏部屋

アルゴイの美しい牧草地と山々に囲まれた町フッセン(Fussen)は、バイエルン王ルードウィッヒII世の建てたNeuschwanstein城の近郊にあり、「メルヒェン街道」の終点地としてドイツ旅行者にも人気がある。ルネッサンス期には、弦楽器製作家の町として広くヨーロッパ中に名を知られ、フッセンから多くの製作家が各国へ出稼ぎにゆく、という歴史があった。特に有名な製作家ファミリーは、ティーフェンブルッカー(Tieffenbrucker)家である。この一族は何人もの優れた弦楽器製作者を生み出したが、その中でも最高の製作者として歴史に残ったヴェンデリン・ティーフェンブルッカー(Wendelin Tieffen-brucker)である。彼を記念した泉が、フッセン城近くの広場に建てられている。


ヴェンデリン・ティーフェンブルッカー記念の泉


泉の台座には楽器をあしらったレリーフが(下の写真も)



ルネッサンス期に比べれば、現在のフッセンに住む弦楽器製作者の数は、まさに「スズメの涙」となってしまったが、ここ数年、弦楽器製作者の住む町として、再び、息を吹き返す傾向がみえる。冒頭の3人の製作家の努力によって、市立博物館に弦楽器製作に関するコーナーが設けられ、毎年、楽器製作家を対象とした下記講習会と音楽祭が開かれるようになった。これからの発展が、ギターファンにとって楽しみな町である。


ウルス・ランゲンバッハー氏のホームページ http://www.urs-langenbacher.de/
 
クリストフ・イエギン氏のホームページ 



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