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Intervirew with Ken-ichi Nishizawa by Sakie Nomoto

インタビュー/作曲家、西澤健一、ギターを語る

文・写真/野本紗紀恵

 昨年(2004年)11月に東京と大阪でギター作品展を行なった作曲家の西澤健一さん。すでに、作曲コンクールの入賞歴もあり、作品リストにはさまざまな楽器、編成の作品が網羅されている。11月の作品展を聴かれた方々は、彼がいかに才能ある作曲家であるか確信したことでしょう。(作品展の内容は、大萩康司、金 庸太、大谷定広の各氏に委嘱された4作品を大萩康司、金 庸太、岩崎慎一の各氏が演奏するというもの。この4作品はすべてホマドリームから出版)。
 ということで、今回はこの若き作曲家に、ギター曲を作曲すること、そして今後の活動などについてお話を伺った。



初めてギター曲を作曲した時、CDを聴いたりとか、何か勉強しましたか?

 セゴビアやジョン・ウィリアムズなど、有名どころは一通り聴きました。でも「曲が知りたい」という考えが先にあったので、有名な曲だけではなく、自分が書くものと同じ編成の作品、例えばギターとチェロの曲などの珍しいCDも購入しましたね。

 昔は聴かないとイメージが掴めないこともあったのですが。聴いたものがとても良い音楽、良い演奏だと、影響を受け過ぎてしまう。また、だめな音楽だと腹が立つし(笑)。作曲する時には、何も音を聴かないことの方が多くなりましたね。

 そうそう、ギターの楽譜もたくさん見ましたよ。最初はギタリスト作曲家、例えば藤井敬吾さんやディアンスなどの作品を見ました。ヴァイオリン、ハープでも、その楽器のためだけに書く作曲家がいて、その作品を見ると、その楽器ができることが分かってくるのです。でも、ギターの場合、分かりませんでしたね(笑)。 私と完全に発想が違うので参考にはなりませんでした。

 次にポンセやC=テデスコなどのギターを弾かない作曲家の作品を見ました。すると、本当はここに音を書きたかったんじゃないかなとか、省略された音がたくさん見えてきたのです。ギターで演奏可能か彼らが判断できなかった、恐くて書けなかったようなところが見えてきた。それに気がついた時、なるほど恐ければ書かなければいいことだし、自分の思う範囲で書けばいいんじゃないか、と悟りました

 その恐い範囲も最近は慣れてきて狭まったことは確かなのですが、ただやっぱり、自分の分かる範囲で曲を構成すればいいわけです。そういう考えでギター曲作曲の修行を積んできたつもりです。

ギター曲を書いてみて、ギターに対するイメージに何か変化はありましたか?

 変化といったら、ずっと変化してますよね。それに、ギターに接する前は、イメージ自体がなかったという表現が正しいです。それが、金 庸太さんや、大萩康司君の演奏を聴いたりして、徐々にギターに対するイメージというのができてきて、その都度書いてきた作品に投影されているのかなという気がします。

 最近の作品の方がより「ギターらしい」楽譜になっていると思います。しかし、最近になって書けるようになったこともあれば、逆に今では書けなくなってしまったということもあります。例えばソナタ1番のように、単音でずっと静けさを保つようなことは、今の僕が発想するかといったらしないでしょうね。だから、あのソナタはあの時に書いておいて良かったなと思っています。


オーケストラでもピアノでも、個々の楽器には性格がありますが、ギターはどんな楽器だと思いますか?

 音を抱え込んでいて、雄弁ではない楽器。内なる声を出す楽器というか。とても繊細なところのある楽器だと思います。

ギターを弾かないのですよね。どういうふうに作曲するのですか?

 大学時代にスチールギターを触ったから、まったく触っていないです。でも一通り運指は理解していますよ。ヴァイオリンなどでもすべて運指は把握している。すべての音が繋がるように作曲しているつもりです。もちろん、私の考えている運指はベストではなく、プロの奏者だったらもっと良い音を出せる場所とか、指を動かしやすい場所を知っているということは理解しています。

 これは数少ない自分に恵まれた才能だと思うのですが、以前にハープの曲を書いた時にハーピストの方に「ハープをやるんですか?」と訊かれたり、他の楽器でも同じようなことを言われることがあります。ある楽器のために作曲しようとしたら、まずその楽器が自分の中で消化されないといけない。弦の並びであったり、運指であったりとか。美しい音は出ませんが、ヴァイオリンもギターも押さえる指の形は把握しているつもりです。弦楽器の場合、音の素材を選ぶことは、指の動きを選ぶことになります。

今後もギター曲を書く予定はありますか?

 とりあえず今は、ある時期から多くなったソナタという形式を一旦やめて、小品を作ろうかなと思っています。

ということは、今になって大萩康司さんが頼んでいたものが何か分かったのですね。[ソナタ第1番、3つのアラベスクのプログラム・ノート参照]

 そうですね(笑)。でも結局、小品と思って書いていても、つい大きくなってしまうんですよ。短い中で構成することも当然できるのですが、止められない。これはもう性格ですね。

将来、アンサンブルやオーケストラの曲にギターを入れる可能性はありますか。

 場合によりますね。ギターという楽器は自分のストックにはなりましたので、効果的だと思えば使います。今ならマーラーの7番よりはギターを活躍させてあげられるかなと思います。



昨年のギターの作品の個展は東京と大阪で行なっていますが、個展をやる意味は何だとお考えですか?

 作曲家が演奏会を開く意味は、曲のセールス、自分のセールス、つまりこんな作曲家がおりますというのを広く知ってもらうことが第一です。

 あとは自分が経て来た道、例えばギター作品の個展は2001年から3年間の作品だったのですが、作曲家が何を考えてその3年間という年月を生きてきたか・・・と言うとちょっとオーバーですが、それを自分で見返すという意味と人に見てもらうという両方の意味がありますね。

次の作品展の予定は?

 9月28日東京文化会館でピアノ・ソナタ4曲を集めた個展を行ないます。演奏も自分で行ないます。自分が弾くと知っていたら、もっと簡単に書いておけばよかったと後悔しています(笑)。

今後の活動が楽しみです。これからも、ギターのための新鮮な作品をお願いいたします。本日はありがとうございました。


(2005年1月13日)

 

西澤健一氏のサイト



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