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Intervirew with Masahiro Masuda by Sakie Nomoto

インタビュー/益田正洋、アルバム制作裏話

2nd CD「プログレッション」発売中


文・写真/野本紗紀恵

 名門ジュリアード音楽院を首席の成績で修了し、2004年2月に帰国、その後活発な演奏活動を展開する益田正洋さん。2月9日にはホマドリームからニューアルバム「プログレッション」が発売され好評を得ている。帰国とCD発売を記念したリサイタルを数日後に控えた益田さんに、CD制作にまつわるエピソード、留学のお話などを伺うことができた。



CDプログレッションが発売になりました。大曲3曲という意欲的な選曲、さらにカルロス・ラファエル・リベラの「舞踏のミューズ」は邦人初録音です。なぜこれらを取り上げたのですか。

 今聴いて欲しかったのがあの3曲なんです。カヴァティーナ組曲は留学前から弾いていたので、帰ってきてどう変わったかということに注目してほしいです。ホセは留学中に取り組んでいた曲なので、その成果を表したかった。リベラは、日本人はまだ誰も弾いていないし、あまり知られてもいない曲なので、話題性があるかなと。それに曲としてもギタリスティックで格好いいので、アルバムに入れたらすごく効果的だと考えました。

録音はどうでしたか。順調にいきましたか。

 長野剛さんに頼んだのですが、マイクのセッティングにこだわって、それに3時間くらい費やしてしまいました。一晩でやろうとしていたのですが時間が押してしまい、録音を始めたのが11時、終わったのは朝の5時半でした。実質6時間なので1曲あたり2時間で録音したことになりますね。最後の方は握力がなくなってきてきつかったです。



CDジャケットの写真撮影はどうでしたか。歩く練習をしたと聞いたのですが。

 そうなんです、30分以上は練習しましたね。歩き方なんて普段全く気にしていませんでした。でも以前から人には言われていたんです、舞台に出てくる時の歩き方が変だって。だから練習できてちょうどよかったです(笑)

ではジャケットの写真は練習の成果ということになるわけですね。

 それが、選ばれた写真は成果が全然現われていないものだったので、ちょっとがっかりでした。練習前と同じ、内股でドラえもん歩き(笑)。もっといい写真があったはずなんですが、デザイナーさんに「この写真がかわいらしくて良い」と、失敗した写真を使われてしまいました。

衣装選びはどうしたのですか。

 カメラマンの方に「持ってる衣装全部持ってきて」と言われて、撮影の何日か前にスーツケースに持っている全部の衣装を入れて見せに行ったんです。でも「全部使えないからこの際揃えましょう!」ということで、そのまま原宿周辺を重いスーツケースをごろごろ転がしながら買い直しました。次の日は筋肉痛。演奏より大変でしたね。


留学のお話を聞かせて下さい。シャロン・イズビン先生はどういう方でしたか。

 シャロンはすごく厳格な感じで、先生として割と自分の意見を押しつけてくる人でした。音楽の基礎的な文法のこと、例えばフレージングや和声感に結構うるさい人で、和声が変わっているのにきちんと消音しないと注意されましたし、フレージングは楽譜にちゃんと書き込んで自分がどう表現したいか、なぜそうしたいと考えたのかを、きちんとまとめてレッスンに行かないと、かなり怒られました。

 あと気分屋さんだったので、機嫌が悪い時は「触らぬ神にたたりなし」みたいな感じに、避けていました。


イズビン先生に師事して一番変わったことろはどこですか。

 楽譜が変わりました。今までは汚さずにきれいなまま使っていたのが、今はたくさん書き込みがあって人には見せられないような状態になっています。自分はどう弾きたいのか、なぜそう考えたのかをきちんと楽譜に書き留めて、次の日にそれで本当に正しいのかどうかを見直し、さらに楽譜に書き加えていく…、という風になりました。そうすることで練習の仕方も変わりましたね。どこに焦点をおいてこの曲を仕上げるのかを視覚的な情報にして、それに向かって練習するというように変化しました。


長崎の先輩ギタリスト、山下和仁さん、山口修さんは地元に暮らしながら活動していますが、益田さんは帰国後の活動拠点を東京に決めましたね。なぜですか?

 大学までずっと長崎だったのですが仕事もなかなか来ませんでしたし、東京とは刺激の量が違いますね。長崎にいるとぬるま湯につかってるみたいで、ともすると自分が一番うまいような錯角に陥ってしまいますが、東京にいるとギターをやっている同世代の人がたくさんいて向上心をかき立てられます。あとどうしても実家にいると、なんだかんだで親の世話になってしまい、何もしなくてもご飯が食べていけてしまう。そういう甘えが心のどこかにあるのがいやでした。

帰国&CD発売記念リサイタルが2月15日にあります。どの曲を一番聴いて欲しいですか。

 自分が一番のテーマに掲げているのは、実はバッハなんです。バッハを格調高く、いかにコントロールして弾けるかどうか。それが目標です。ついつい興奮して走ってしまうことが多い。バッハッハ(笑)

 でもたぶんみなさんが楽しみにしているのは、後半のタンスマンやリベラ、あと最近あまり弾かれてない〈南のソナチネ〉だと思います。前半は今までと違う演奏スタイルのバッハやソルを、後半は今の力強さや躍動感のある演奏を聴いていただきたいと思います。

演奏会がとても楽しみです。期待しています。本日はお忙しいところありがとうございました。みなさん、益田さんのCDをぜひ聴いてみてください。

(2005年2月8日)

 

益田正洋氏のサイト



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