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4th Thaoland International Guitar Festival & Competition 2004
Reported by Jun Sugawara

2004年バンコク国際ギターフェスティバル&コンクール

文・写真/菅原 潤 

 10月26日〜30日の5日間に渡って、第4回バンコク国際ギターフェスティバル&コンクールが開催された(バンコク・ギター協会主催、音楽監督レオン・クーデラック)。今年も招待されたので私も全日程参加したが、明らかに回を追うごとに充実しており、うれしいことだ。


フェスティバルのプログラム[拡大

 今回はホテルもこれまでの中で(私は2回めから招待されている)最高。繁華街サイアム・スクエアと戦勝記念碑の中間あたりの(正確に書くとBTSのパヤタイ駅の側にある)サイアム・シティ・ホテルが今年の会場である。コンサート、コンクール、マスタークラス、展示会がすべてこのホテルで行なわれ、非常に便利であった。というのも、2003年は宿泊、コンサート、マスタークラスがそれぞれ別の場所で行なわれ、しかもAPEC開催と重なり、市内の交通は通常よりも悪く、非常に難儀した記憶があったからだ。

 コンクールは、加藤政幸を審査委員長にウーゴ・ヘレール(スペイン)、稲垣 稔、今井勇一、ティモ・コルホーネン(フィンランド)、カール=ハインツ・レーミッヒ(ドイツ)が審査にあたった。ジュニアの部は課題曲がソルの練習曲Op.31-19。結果は、第1位Panidol Panyawuthikrai(自由曲はラウロ/ベネズエラ・ワルツ第.3番)、第2位Chananuch Khamsuk(M=トローバ/マドローニョス)、第3位Perasri Nuchdonphai(ポンセ/前奏曲ホ長調)とPeerapong Wongchum(ヴァイス/ファンタジー)の2名。入賞者には運動娯楽大臣(Minister of Sport and Recreation)からトロフィーが、そしてタイのギター製作家Viroon Songbundit、Apirak Jiratpikalpongのギターが贈呈された。ジュニアもめきめきレベルアップしてる。

 一般の部は課題曲がヴィラ=ロボスの練習曲第11番。第1位谷辺昌央(ケルン音楽大卒、ドイツ在住、自由曲はヒナステラのソナタ、第2位和山太郎(LA在住、USC修士課程在学中、武満 徹のフォリオス)、第3位樋浦靖晃(2003年東京国際ファイナリスト、タレガ/椿姫の主題による幻想曲)とSkol Siripipattanakul(2001年バンコク国際コン第3位、ポンセのフォリアの主題による変奏曲)の2名。入賞者には運動娯楽大臣(Minister of Sport and Recreation)からトロフィーが、そして第1位と第2位にそれぞれカール=ハインツ・レーミッヒ、今井勇一のギターが贈られた。谷辺は私の記憶の谷辺とは違っており、彫の深いダイナミックな演奏に変わっていた。和山はソフトでしっとりとした演奏。樋浦は細やかな音楽性を披露していた。タイのエース、サコールのポンセはかなり弾き込んであったが、私の耳には奇異に聴こえる解釈があったのは事実だ。


第1列右から樋浦、和山、谷辺、そしてジュニアの1位、2位


和気あいあい(失礼!)とした審査風景。中央は審査委員長、加藤氏
 

 コンサートは連日、夜7時30分から行なわれた。初日は前日に日本公演を終えてバンコクに到着したばかりのウーゴ・ヘレール。プログラムは日本公演と同じ。アグアド/ファンダンゴOp.16、プホールの前奏曲3曲、アセンシオ/内なる想い、ダンジェロのリディア調の歌、ヒナステラ/ソナタOp.47。ティモ・コルホーネンは、バッハ/ソナタBWV1003、ファリャ/ドビュッシー讃歌、マグヌス・リンドベルイの2004年の新作、そしてヴィラ=ロボス/12の練習曲(1928年版)。加藤政幸は同じくドイツ在住のピアニスト博多由実代との共演で、シルビー・ボドロバ/3つの音の歌、ヴィラ=ロボス/協奏風幻想曲(=協奏曲)、ロドリーゴ/アランフェス協奏曲を安定した技術で聴かせてくれた。このプログラムは体力的にも重労働と察するが。稲垣 稔は、ビーニャス/独創的幻想曲、テオドラキス/2つの墓碑名、武満 徹・編曲/オーバー・ザ・レインボー、失われた恋、ヒア・ゼア・エヴリウェア、M=トローバ/ソナチネ、ピアソラ/アディオス・ノニーノ、ブエノスアイレスの冬。ハンド/キング牧師への哀歌、ルリッシュ/ジャンゴのための序奏とセレナード、オルボン/前奏曲と舞曲、ディアンス/サイダージ第3番。集中度の高い美しい演奏。昨年に続き2回目ののゲスト。ファンはかなり増えたことだろう。最終日のコンサートはパヴェル・シュタイドル。パヴェルはタイではすでに有名人で、主催者側も心得たもので、会場のレイアウト変更をし、フェスティバル行事中最多の聴衆を迎え入れた。お得意のメルツ、レニャーニ、コストに始まり、バッハ/シャコンヌ、そして珍しいアルベニス/カディス、セビーリャ、ヤナーチェクの小品2曲。最後はシュタイドルの自作、「そして君もイタカに行くか」「エウゲニー」「エリーエのためのランバダ」。会場は興奮のるつぼ。現地のシュタイドル評は「ギターの魔術師 Guitar Wizard」。確かに。



タイでも人気者、シュタイドル

 今年の特徴は日本勢が目立ったこと。2年前は日本人は私と今井さんだけだったことを考えると隔世の感がある。製作家では黒澤澄雄、桜井正毅、今井勇一、そしてギタリストが加藤政幸、稲垣 稔。そして特筆すべきはコンクール。日本人が3名参加して、全員入賞したのだから。


黒澤、稲垣、今井。ホテル2階の日本食レストランで

タイの製作家Viroonさんの工房がホテルの近くということもあり、黒澤さん、今井さんは時間を見つけては出向き、ギター製作の講議、時には工具を使って実技を行なった。その場には多くはないタイの製作家が集まり、雰囲気はとても熱いものが充満していた。



タイの若手ギター製作家。中央がリーダー的存在であるViroonさん


主催者バンコク・ギター協会会長Woratepさんとティモ

 私は前々から楽しく想像しているのだが、このバンコク国際ギターフェスティバル&コンクールをなんとかアジア全体が関わる行事にならいものだろうか。そう、アジア国際ギターフェスティバル&コンクール。

 王宮、暁の寺をはじめ、観光地の多いバンコク、そして素晴らしい人々。来年は、あなたも参加しませんか。



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