Intervirew with
Mariko Tsubokawa by Sakie Nomoto
インタビュー/坪川真理子、大活躍する女性ギタリスト
文・写真/野本紗紀恵
昨年10月に「スペイン幻想」(ビショップレコーズ)をリリース、12月には発売記念リサイタルも成功裡に終えた坪川真理子さん。ソロはもちろんギタートリオ、アンサンブルにと多岐にわたる演奏活動を展開し、活発に活動する女性ギタリストのひとりである。女性同士、仕事以外の話も伺うことができた。

ファーストアルバム「スペイン幻想」のセールスポイントはどこですか?
従来のスペイン曲集アルバムとはちょっと違う、新鮮なプログラムにしました。また珍しいだけではなく、個人的にも思い入れある曲を選びました。
例えば〈小麦畑で〉はロドリーゴの数ある作品の中で一番好きな曲です。短いけれど完成度が高い。〈デディカトリア〉は作曲者アブリルに直接習った曲。〈タロット〉を書いた作曲家トーマス・マルコもよく知っている人です。
また、自己満足な選曲にしたくはなかったので、ギターファン以外の方にも聴きやすい、受け入れられやすいCDを作ったつもりです。

演奏活動も活発ですね。
去年はアンサンブルが多くて、例えばアルポリールギタートリオや、ヴァイオリンの田野倉雅秋さんとのデュオ、ハーモニカの竹内直子さんとのデュオなどをやりました。田野倉さんとは、留学中に同じ演奏会でお互い別のデュオで演奏したのがきっかけで知り合いました。帰国後は、まだニューヨークに留学中の彼にメールを出したことで一緒に演奏するようになりました。彼との演奏はたいへん勉強になるのでこれからも続けたいですね。竹内さんも実力者で、今後も機会があったら共演したいと思っています。
今年(2005年)はソロの予定が多く入ってきています。まず、3月5日に大阪で岩崎慎一さんと二重奏をします。岩崎さんとはスペイン留学の先輩ということで知り合って長く、とはいっても彼はアルコイ、私はマドリッドに住んでいたのでデュオは初めてですが、楽しみにしています。
4月10日には大倉山記念館でLECGC主催のコンサート、6月12日には川口ギターをきく会主催のコンサートに出演する予定です。7月1日はGGサロンでピアノ伴奏の〈アランフェス協奏曲〉に挑戦します。

2004年9月新津市にて、竹内直子さんとのコンサート
去年は30回以上、演奏会に出演なさっていますが、クラシックギタリストとしては多いですよね?
一度アンサンブルを組んだ相手と長く続いているということと、やはり女性ギタリストであるということが大きな理由でしょうか。女性ギタリスト限定の仕事を紹介していただくことも多いし。
演奏家は女性の方が有利ということでしょうか
楽器にもよると思います。ピアノですと女性演奏家の方が断然多いので優遇などは起こらないと思いますが、ギターの世界では女性であることによって得することの方が多いようです。
たくさん仕事をなさっていると、結婚の心配をされたりしませんか?
よく心配されます。独身主義というイメージができつつあるみたい(笑)。確かに、何が何でも結婚したいと思っていないし、結婚しない人生も選択肢としてありだと思いますが、でもできれば結婚したいと思っています。
手をあげる男性が一気に増えたりして(笑)。坪川さんにとっての仕事と結婚の位置付けとは。
結婚しても仕事は続けたいとは思いますが、でも、「この人のためなら仕事を辞めてもいい!」という人が現われたら、それもいいかなと思っています(笑)。
結婚もしたいし仕事も続けたいですけれど、人生「絶対」ということはありえないかな。
独身主義と勘違いされるということですが、「強い女性」と思われている節があるのでしょうか。
たぶんありますね。強いというか、あまり知らない方からは「恐い」「硬い」みたいなイメージを持たれるみたいです。
私、ちょっと喋るのがゆっくりじゃないですか(笑)。なので、友人からは「コンサートとかでは喋らない方がシャキっと見えていい」と言われます。でも、私のことをあまり知らない人からは、「喋った方が柔らかい感じでいい」とよく言われますね。
あと、写真や舞台に立った姿だけを見ると身長の大きな人に見えるらしいので、そういう点からも恐く見えるのかな。
でも女性ひとりでスペインに留学できるというのは、もちろん「恐い」というのとは違いますが、穏やかな中にも芯が通っているということだと思います。ところで、なぜ留学先にスペインを選ばれたのですか?
私の場合、ギター留学イコールスペインで、ほかの選択肢はありませんでした。もちろんギターを勉強したくて留学したのですが、それ以上に、とにかくスペインに1年間住んでみたいという気持ちが大きく、ほかの国は考えられませんでした。初めは1年の予定だったのですが、少しずつのびて結局5年半になってしまいました。
スペインが合っていたということですか?
合っていましたね!学生時代に3週間のスペイン旅行をしたのですが、そのときに気づきました。その旅行がスペイン留学のきっかけになりました。当時は今より痩せていて、どうしても太れない体質でした。それにお腹も弱いので、海外に行くと普通の人でもお腹を壊すと聞いていたので、正露丸を大量に持って行きました。両親は痩せ細って帰ってくると予想していたようですが、旅行から帰ってきたら4キロも太っていて驚きました(笑)。
それに頭痛持ちで、疲れるとすぐ熱を出したりと虚弱だったのですが、留学を終えて帰ってきてみて、体が丈夫になっていることに気がつきました。爪も弱かったのに強くなっていたのは不思議です。
ということで、「スペインは私の国に違いない、生まれるところを間違えたのかもしれない」と今では確信しているわけです

帰国から丸4年が経ちました。帰国当時描いていた演奏家としての夢、計画は進んでいますか。
演奏家としては、自分が考えていた以上のことが実現したと思っています。コンサートの数、共演者のレベルの高さからもそれは言えます。CDもこんなに早く出せるとは思っていませんでした。
でも、スペインにマンションを買い、スペインと日本に半分ずつ住むという夢からは遠く離れてしまいました(笑)。今では年に2週間でもスペインに行ければいいという感じです。
最後に、女性プロギタリストを目指している人たちにアドバイスをお願いいたします。
ギタリストとして必要なことは男性と同じだと思います。
私の高校は女子高だったのですが、担任の先生が言った言葉が忘れられません。「よく女性差別だと騒ぐ人がいますが、そんなことで騒ぐのではなく、男性と同じことをやると女性の方が評価されるのが今の日本社会なのだから、それを利用しなさい」。その通りだと思うし、今現在の私が見事に当てはまっているかなと思っています。
しかし、日本には若いことの価値が高い風潮があるので、若手女性は得をしても「若手」がはずれてくると難しくなってきます。だから私は35歳までが勝負だなと考えています。それまでに「若手女性」ではなく、「実力派」として認められるようにならなければ生き残れないと思って、頑張っています。
今日は楽しいお話ありがとうございました。今後のご活躍も期待しています。
坪川真理子さんのサイト
●主なコンサート予定
「デュオコンサート」共演:岩崎慎一(G)2005年3月5日(土)16:00
会場:大阪・ファナ大阪
「第67回LECGC」2005年4月10日(日)14:30
会場:横浜・大倉山記念館ホール
「川口ギターコンサート」
2005年6月12日(日)14:00
会場:埼玉・川口市横曽根公民館
「スペイン・イタリア音楽の夕べ」共演:小島さやか(Pf)
2005年7月1日(金)19:00
会場:東京・GGサロン
(2005年2月16日)
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